keep learning blog(キープラーニングブログ)

自分が興味を持ったことを備忘録として残すブログです。

32.コロナ時代の今こそお金の話をしよう

――おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。――

新約聖書 マタイの福音書13章12節

 

 

投資について考えよう

7月にデンマークから帰国してもう半年経ちました。個人的な出来事としては、部署移動があったり、論文のレビュアーから追加実験を要請されたり、友人の結婚式があったりと、様々なことがありました。

COVID-19の感染拡大はとどまるところを知らず、世界中でいまも多くの人が重症化リスクに晒され、医療関係者は疲弊し、ついには世代間・人種間の分断にまで発展しています。

また、COVID-19は人々の健康を害するだけでなく、経済動向や社会そのものを変容させ始めています。人々の消費行動は新日常に向けて変化し、経済界もその機をとらえるべく動き始めました。

今回の記事は、Pythonにもディープラーニングにも海外留学にも関係なく、たまには経済やお金の話を書こうという試みです。外に遊びに行けないなら、家でじっくり考え事をするのもいいですよね。

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お金を増やすための手段

皆さんは、給料やお小遣いをもらったら何に使いますか。食費?洋服?生活家電?はたまた趣味のグッズ収集でしょうか。いずれにしても、お金は銀行口座に振り込まれ、銀行口座から引き出されます。

銀行口座のお金はあるに越したことはありません。そして、私のようなしがないサラリーマンがお金を増やすには、大きく分けて4つの手段が考えられます。

 ①給与所得:給与が増えるように社内で昇進するか、給与の高い職場に転職する。

 ②預金利息:給与を使い切らず銀行に預金して、年率に応じた利子を得る。

 ③税金還付:国や自治体の定めた控除制度に則って、所得税や住民税を還付してもらう。

 ④投資利益:給与を金融商品(株、債権、不動産、保険etc...)に投資して、利益を得る。

順番に見ていきます。

 

①給与所得

残念ながら、今はもう年功序列で横並びに給与が上がっていく時代ではありません。外国から優秀な人材もどんどん入ってきます。向上心なく昇給は望めないでしょう。意識を高く持って自分磨きを続けるしかないです。

また、転職も素晴らしいことです。自分が前の職場で培ってきたスキルや経験を活かし、別の世界でステップアップできるだけでなく、嫌いだった上司・同僚の顔も一生見なくて済みます。

日本では転職が一般的ではありませんが、人材の多様化は組織にとってイノベーションにつながる可能性が広がります。ジョブ型雇用の導入や労働市場の流動化は今後も一定程度進んでいくでしょう。

しかし、今の立場を捨てて新しい世界に飛び込むことは、生半可な覚悟ではできないですし、何より家族や同僚に理解してもらうのも一苦労です。日本人は石橋を叩いて渡りたい人が多いですしね。

以上のとおり、給与アップは一朝一夕で達成できることではなく、また万人に共通する正解もありません。きちんと向き合ってくれるプロのエージェントに相談するのがいいと思います。

min-ten.com

 

②預金利

私の親くらいの世代、いわゆるバブル期までに社会人になっていた層の人たちは、国内銀行の利息がとても充実していたので、特に何も考えずに預けておけば、1年間に5%近く増えていました。

どうしてそうなっていたかというと、当時の日本企業には今より成長の余地があって、銀行は顧客から預かったお金を企業に貸したり株式に投資したりすることで、その比率以上に増やせる自信があったからです。

しかしながら、今の日本経済は少子高齢化の影響や生産性の低迷、IT・デジタル化の遅れ等によって当時の勢いを失い、銀行も増やす手立てがなくなってしまいました。1年間の利子は約0.001%という寂しい数字です。

加えて、銀行も経営状態が厳しく顧客の口座をシステムに登録する費用すら惜しくなってきているらしく、三菱UFJ銀行は休眠口座から口座手数料1320円を徴収し始めるそうです(口座手数料は海外では一般的)。

www.jiji.com

節約と貯金は、お金を貯めるうえで基本中の基本ですが、今やそれだけで一生安心とは言い難い状況ですね。

 

③税金還付

ときどき、有名人の脱税がニュースになります。納税というのは憲法に定められた義務の一つですから、故意かどうかに関わらず、納税を回避するような行為は褒められたことではありません。

当然ながら、国や自治体は、私たちがその年に納めるべき税金を計算するためのルールを一般公開しています。ルールの公開なしにお金を請求するなんて、フェアじゃないからです。

逆に言えば、この公開されたルールの範囲内で行うすべての節税行為は、国が私たちに求めている行動でもあります。一例を挙げると、例えば政党や認定NPOに寄付を行うと、その年払った所得税や住民税が一部還付されます。

すなわち、国や自治体はこうしたルールを公開することで、「政党や認定NPOへの寄付行為が盛んな社会にしたいです」という意思を表明しているわけです。

www.nta.go.jp

さて、税金と聞いて真っ先に思い浮かべるものはなんでしょうか。私の場合は消費税です。つい最近上がったばかりですしね。他方、所得税や住民税については、さほど知りません。会社が給与から天引きしているので、意識する機会がないからです。

この所得税や住民税、具体的にはどういう式で計算されているのでしょうか。まずはそこから考えます。

通常、サラリーマンには12月頃に会社から「源泉徴収票」という書類が発行されます。そこに記載された「支払金額」あるいは「総支給金額」という欄が、会社から支給された本当の給与全額です。

消費税のように、この支払金額に○○%のような割合をかけた金額が、所得税や住民税として取られるのでしょうか。答えはNoです。なぜなら、税金の計算には所得控除という仕組みがあるためです。

所得控除というのは、簡単に言えば「生活に支障が出ないように、税率を掛け算する前に給与(所得)をなかったことにしてあげよう」という仕組みです。表にまとめてみました。

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給与*1に応じて計算式が異なります。表の例のとおり、例えば給与が500万円の人は356万円の給与を得た人とみなしてくれるわけです(本当に減るわけではなく税金の基準額が減る)。

これで終わりではありません。さらに「生活に支障が出ないように」するため、全員共通の基礎控除として-40万円程度、社会保険料(健康保険、介護保険、年金)の支払額で-80万円程度の控除が適用されます。

その他、民間の生命保険や地震・火災保険に入っている場合は、その支払額も控除対象です。結果、給与が500万円あったのに、税金計算の基準となる課税所得は、230万円近くまで減ります。

この税金計算の基準額230万円に対して、今度はこの金額に応じた税率が決定されます。以下のとおり表にまとめてみました。

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いわゆる累進課税により、高額所得者にはかなりの税率が掛けられています。ですから、給与が高い人ほど、この税金計算の基準額を1円でも安く(節税)しようと躍起になるというわけです。

ここまでは所得税の話ですが、住民税にも類似の控除制度が設けられています。ただし、掛け算する税率の方は基準額(課税所得)に関わらず10%に固定されています。住民税はみな平等で、累進課税じゃないんですね。

では、世の中で節税節税と言っている人たちは、具体的にどうやって税金を減らしているのでしょうか。答えは簡単です。税率を掛け算する前の基準額を極力減らす行動をとっているのです。

基準額を減らす方法としては、ふるさと納税や寄付、あるいは副業のために買ったパソコン代金や自宅の住宅ローン金利減価償却費を経費として計上するなど、様々なやり方があります。

ただし、くれぐれも国税庁の人から見て「この納税者は悪質だ」と思われない範囲内で行いましょう。基本的に出る杭は打たれるのが世の常ですから…。

 

④投資利益

私の想像ではありますが、おそらく多くの日本人は「投資」と聞くと、「パチンコや競馬のようなギャンブル」だと思って警戒する傾向があるような気がします。

これはたぶん、昔は預金利息が高くて投資する必要がなかったのと、バブル崩壊時に不動産投資を積極的に行っていた人が転落したことをみんな知っているからだと思います。単に日本人が慎重派だという結果かもしれませんが。

いずれにしても、投資がギャンブル(リスキー)だという認識は、ある意味で正しいです。確かに、価値が上がるか下がるかはパチンコや競馬と同じく運の要素もあり、預金利息のように確実に入ってくる保証がありません。

しかし、貯金以外に投資なんて一切していない人も、実はカジノのテーブルに座っていることにお気づきでしょうか。すなわち、円でお金を貯めるという選択は、自分の全財産をルーレットの「日本円」に賭け続けていると言い換えられるからです。

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例えば、ジンバブエという国では、中央銀行の発行する貨幣の信用が地に堕ち(ハイパーインフレーション)、ある日突然ペットボトルの水1本を買うために100億ジンバブエドルが必要な状態になりました。

いま円で持っている1000万円というお金が、ある日突然ペットボトルの水すら買えない紙切れに変わるかもしれない――。これは途上国ジンバブエの話なので極端ですが、少し前には先進国であるギリシャでも似たような状態になりました。

日本は世界トップレベルに安全な法治国家で、たくさんの優良企業があり、住んでいる人たちも真面目で働き者です。そんな日本の貨幣が信用を失うことなんて絶対にありえないと思うなら、この賭けは勝ち続けられるでしょう。

しかし、さすがに円が紙切れになることはないとしても、国債発行総額(借金)の増大や車産業の電気化(EV)シフト*2により、日本国あるいはそれを象徴する日本企業が魅力と信頼を失えば、相対的に円の価値は下がります。

何より、日本は食料自給率が低く輸入に頼らなければ生きていけない国なので、今後も外国の物を買わなければならず、外国の物を買うということは円を売って外貨に交換するということなので、長期的に円安へ向かうのは構造的宿命です。

以上のことから、投資というのは、ギャンブルのように+ \alphaのあぶく銭やスリルを求める行為ではなく、将来この「円一点賭け」に負けて致命的な損失を被らないように、より安全な道を探し求める行為なのです。

 

では何に投資すればいいのか

それでは、具体的に何に投資すればいいのでしょうか。書店には投資本がずらりと並び、ネット記事には一獲千金の体験談ばかり、容姿端麗な生保や不動産の営業員からは人生100年時代に必須の商品だと紹介されて…。

人生に正解がないように、投資に最善手など存在しません。ただし、「お任せ簡単」「ノーリスク」「不労所得」といった言葉には、悪意のソースがたっぷりかけられていると思った方が身のためです。

何事も経験ですから、まずは少額から色々な投資を体験するのが吉です。並行して、信頼できる誰かの体験談を教えてもらったり、複数の文献・Web記事に当たったりして、最大公約数の知識を身に着けるのが大事だと思います。

例えば、最初は為替の仕組みを知るためにFXをやってみて、慣れたらREIT不動産投資信託)やETF(上場投資信託)を中長期的にじっくり保有してみるのがおすすめです(間違っても2日3日で売らない)。

また、時間的余裕があるなら、株式・債券の短期売買を行ったり、今流行りの仮想通貨、原油やその他資源の先物取引、不動産や太陽光パネルのような現物投資も選択肢の一つだと思います。

いずれにしても「面倒くさい」と思わずに、自分の手で調べ、自分の頭で考えるのが大切です。

 

ブログ主のおすすめ

私はブログを収益化していないので、単なる趣味として記事を更新しています。つまり、自分に得がないので何か特定商品に肩入れはしません。本当に★安全★簡単★最強★の投資方法をご紹介します(★付けると怪しさが増すのはなぜ)。

方法をご紹介する前になぜ安心なのか理由を説明します。端的に言えば、国が推奨しているからです。先の節で、税金のルールというのは国や自治体が「こういう社会にしたい」という意思表示なのだとご説明しました。

2014年頃から、国が税金のルールを通じて私たちにあるメッセージを送っていることに、皆さんはお気づきでしょうか。それは、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)という制度のことです。iDeCoは年金なので、若い人にはNISAをおすすめします。

要約すると、この制度は「投資によって得た利益から税金を一銭も取りません」という内容です。そして、国民へのメッセージは「頼むから全額貯金しないで比較的安全な金融商品に投資してくれ」です。

よく誤解している人がいますが、NISAやiDeCoというのは税金を取らないと国税庁が決めた枠組み(口座)のことであって、市中にNISAという投資商品が売っているわけではありません。

喩えるなら、NISAと株式の関係は冷蔵庫とプリンの関係に似ていて、「みんなおいしいって言うからプリンを買うか冷蔵庫を買うか悩んでます」なんて相談はおかしいわけです。普通、冷蔵庫を用意したうえでプリンを中に保管します。

というわけで、私の推奨する投資を行うための手順は以下のとおりです。

1.どこかの証券会社のHPからNISA口座(どこかのブランドの冷蔵庫)を申し込む。

2.NISA口座に入れておきたい何らかの金融商品(プリン)を購入する。

3.金融商品を売ったり買ったり(プリンを冷蔵庫から出したり入れたり)する。

4.税金を取られずに投資利益を得る(カラメルまで余さずプリンを食べられる)。

手順自体はシンプルですが、いくつか選択肢が残されています。それは「どこの証券会社でNISA口座を作るか」と「何の金融商品を買うか」です。

ずばり、私が「安全・簡単・最強」だと思う組み合わせは、「楽天カード」と「楽天証券のつみたてNISA口座」を作り、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」を毎月3万3333円ずつ20年間、カード引き落としで積立注文することです。

www.rakuten-sec.co.jp

ここでいう「つみたてNISA」「積立注文」というのは、毎月の引き落とし(天引き)で貯めてくれる仕組みで、例えば年金型の保険や社内預金のように、自動的に貯蓄と投資が行えるので超「簡単」です。

また、NISAは「安全」な商品に投資して欲しいという国からのメッセージなので、NISAの購入可能リストに含まれている「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は、国が認める「安全」な金融商品です*3

しかも、「楽天カード」からの毎月の引き落としにすると、楽天ポイントが購入額の1%(333円)ずつもらえます。たとえ投資で増えなくても1%のポイント分は必ず増える「最強」の投資方法と言えます。

www.rakuten-sec.co.jp

ちなみに、毎月3万3333円ずつ20年間とした理由は、つみたてNISAという国の制度に年間購入額40万円まで&無課税期間20年間までという上限があるためです。もちろん1万円くらいで始めてもOKです。

 

以上、今回は珍しく経済や投資の話をダラダラとしてみました。

小田和正さんの「ラブ・ストーリーは突然に」の2番のAメロで「誰かが甘く誘う言葉に もう心揺れたりしないで」という歌詞がありましたが、投資でもこれが大事な気がします。

稚文をお読みいただきありがとうございました。

*1:給与とは別に、仮想通貨の取引や不動産・特許ライセンス等で得た利益は総合課税扱いなので、給与にその利益を足し算して税金が計算されます。他方、退職金やFX・株の売買で得た利益は原則分離課税なので、その利益自体に所得税15%+住民税5%+復興税0.315%=20.315%の税率を掛けて、給与とは別ルートで税金が計算されます。

*2:どうやら、電気自動車(EV)は日本企業の得意なハイブリッドカーよりトータルのCO2排出量が少ないそうです。今後の国際社会で環境問題がテクノロジーの趨勢に影響を与えることは避けられないでしょう。https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/technische-universiteit-eindhoven-research-shows-electric-cars-are-greener/

*3:それと、大前提として米国という国は世界一のGDPを誇り、2008年のリーマンショックからは世界で最も早く立ち直った過去があり、GAFAMという巨大IT企業を擁する国家です。長期の投資先としてこれ以上に魅力的な国を他に知りません。