keep learning blog(キープラーニングブログ)

自分が興味を持ったことを備忘録として残すブログです。

1.海外留学しました

――男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。それの年のしはすの二十日あまり一日の、戌の時に門出す。――

紀貫之土佐日記

 

 

はじめに

最初の投稿です。私はこれまでの人生でSNSというものに関わったことがなく、もちろんブログを書いたこともなかったのですが、2019年7月から生存報告用にブログを書くことにしました。誰に報告するかというと、日本の知り合いにです。

土佐日記風に言うと、私は「それの年のふみづきのついたちの、午の時に門出」し、北欧のデンマークという国に滞在しています。期間は1年間。目的は大学で機械学習音声認識の勉強をするためです。

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海外留学の準備について

さっそくデンマークという国の紹介を始めてもいいのですが、せっかくウェブに公開する情報なので、他に海外留学を考えていらっしゃる方のために、留学前の準備について書きたいと思います。

 

言語の不安

外国で生活するからには、現地で最低限生き抜ける程度の語学力が必要です。買い物や定期券の購入、役所で住民登録、病院にかかる、大学で研究討論、etc…。32歳にもなって自分で言うのもなんですが、私の語学力はかなりのもの(悲惨)です。

義務教育で習う英語に関してさえ、ほとんどの日本人がSpeakingの運用能力に問題を抱えています。英語で質問されるとYes/Noしか言えなくなり、会議ではやけに聞き分けが良くなり、複数人の会話に混じると寡黙な微笑みの貴公子/淑女になります。

このような語学の壁を乗り越えるために、以下のアプローチが考えられます。

 

(1)私は英語が苦手ですと伝える

I’m not good at listening English, so could you speak more slowly?

この魔法の言葉を使えば、誰もがあなたに気を使ってくれるでしょう。ボディランゲージを使うのも有効です。ちなみに、I can't speak English. は狂犬に喉を食い千切られて物理的に喋れない(本当に声が出ない)ときしか使えないフレーズです。喋れないから言えないけど。

 

(2)機械翻訳に頼る

Deep Neural Network(DNN)の発達により、画像や音声の認識技術は格段に向上しました。以下のようなサービスが役に立ちます(Appleストアにもあります)。

Google翻訳アプリ

play.google.com

・音声翻訳アプリVoiceTra

play.google.com

Google翻訳アプリはカメラで撮影して看板や紙に書かれた文字を認識し、指でなぞると翻訳してくれる機能があります。これコインランドリーの使い方をデンマーク語で読むときにかなり役立ちました。

VoiceTraはNICT(National Institute of Information and Communications Technology)という日本の研究機関が作った翻訳エンジンを搭載しています。国産だけあって、日本語の音声認識の精度が実に素晴らしいです。

 

(3)英語への苦手意識をなくす

英会話教室は月に数万円取られるので、かなり真剣に取り組まないとコスパが良くないと思います。日本にいるうちに自信を付けるためにおすすめなサービスとして、以下のものがあります。

・Tandem(無料)

www.tandem.net

スタディサプリEnglish(980円/月)

eigosapuri.jp

・ビズメイツ(5500円/月)

www.bizmates.jp

・DMM英会話(5980円/月)

eikaiwa.dmm.com

・英会話カフェ&バーLanCul(平日午後限定:9800円/月)

lancul.com

上から順に手軽に始められます。継続は力なり。やはり対人で会話をするのは有効なので、DMM英会話なんていいんじゃないかと思います。なお、私は留学することが決まってから行くまでが忙しくて時間がなかったので、一つもやれませんでした(妻はやってます)。

 

お金の不安

現地で必要となる経費(expenses)は、大きく分けて以下のようなものです。

  • 食費、日用品費
  • 光熱費、通信費(現地SIM含む)
  • アパートの賃料
  • 交通費
  • 教育機関に払う費用等

下に行くほど、クレジットカードでの決済が難しい項目です。食べ物や日用品に関して言えば、キャッシュレス全盛の現代では多くの国の大手スーパーでクレジットカード払いに対応しています。最悪Amazonでも買えます。他方、教育機関やアパートに払う費用は現地の銀行口座に振り込み(remittance)となるのがほとんどです。交通費はまだまだ現金のみの国が多いでしょう。

以上のような経費を適切に支払うためにも、決済方法としては以下のものを用意するとよいです。

 

(1)楽天カード

www.rakuten-card.co.jp

クレジットカードとしては、断然「楽天カード」をおすすめします。理由は、入会金と年会費が無料で、海外利用でも1%のポイントが付き、ポイントをウェブ経由で来月の支払いに充てられるからです(ポイント失効期限もきわめて長い)。海外利用なので、ブランドはJCBではなくVISAかMASTERを選ぶべきです。

 

(2)SONY BANK WALLET

moneykit.net

ソニー銀行デビットカードです。デビットカードと聞いてピンと来ない方も多いと思いますが、クレジットカードに比べて信用が低い人でも(誰でも)作ることができて、その代わり購入した時点でお金の引き落としが即時に行われるカードのことです。使いすぎて借金するリスクがないので、信用が低くてもいいんですね。

SONY BANK WALLETのメリットは、現地に口座を持っていなくても現地ATMで外貨が下ろせる、円からの両替や送金が手数料無料でスマホアプリからできる、為替レートがきわめて良心的、の三点です。いわゆるMulti Currency(多通貨)制という仕組みで、日本で口座を作るだけで全11通貨(2019年7月現在)に対応した仮想口座ができます。

なお、こういった金融サービスを選ぶときに手数料だけを見て判断する人がいますが、本当に大事なのは為替レートです。1ドル110円と112円では、2%近く差が出るので手数料を遥かに超える損が発生したりします。

 

(3)TransferWise

transferwise.com

2011年にイギリスで創業されたP2P送金サービスです。一般に、海外へ送金する場合には銀行から多額の手数料を請求されます。その手数料を極限まで削ることができるサービスです。ネットでアカウント登録しても、必ず1回は国内にいるうちにテスト送金しないとアカウントが有効にならないので気を付けてください*1

巨視的に見れば、お金というのは日々双方向に流れているため、A国からB国に110万円を送りたい人とB国からA国に1万ドルを送りたい人が同時にいた場合には、A国とB国の間で移動する正味のお金はほぼ0です。しかし、両国の利用者はそれぞれの銀行から高額な海外取引手数料を徴収されます。

そこで、TW社がA国とB国でこういった二者をマッチングさせ、お金の移動をA国内とB国内で完結させて、実質海外送金せずに手数料を最小化する仕組みです(以下の図を参照)。

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TransferWiseのP2P取引概念図

 

現地に口座を作ることに成功したら、このサービスを使って、日本の自分の口座から日本のTF社口座に振り込めば、海外のTF社口座から海外の自分の口座に外貨が入金されます。

と、手数料を抑える方法を紹介しましたが、実はここには一つ大きな落とし穴があります。それは、多くの人がメインバンクとしている国内の銀行(三菱UFJや三井住友等)は、海外でのネットバンキングの利用を推奨していないという点*2です。

つまり、海外に滞在しているときにPCやスマートフォンから自分のメインバンクにアクセスしても、上述したような国内への振り込みでさえ、きちんと送金できることは保証されていないのです。

qa.smbc.co.jp

必ず、国内にいるうちに、メインバンクの担当者に海外でインターネットバンキングを利用する場合の手続きについて聞いてください。グローバルダイレクトという海外赴任者専用のサービスを展開している銀行もあるようです。

2019/7/26追記:私は三菱UFJユーザーですが、特に準備もせず海外に行ってスマホアプリで振り込みを実行したところ、普通にできました(グローバルダイレクトは不要)。ただし、ワンタイムパスワードはアプリ認証、かつ、VPN接続で日本のサーバーを経由しました。VPNについては第二回の記事にやり方を書いてあります。ご参考まで。

direct.bk.mufg.jp

 

今日のところはTransferWiseの絵を描くのに疲れたので以上です。すごい疲れたので二度と更新したくない気持ちですが、次回は通信環境(現地SIMやインターネットのVPN接続)について書く予定です。稚文をお読みいただきありがとうございました。

*1:私の場合はカスタマーサポートにメールしたら送金しなくても有効にしてくれました。

*2:これ今回の記事で一番伝えたかったことなんですが、日本の口座にお金があったとしても、そう簡単に海外へ送金できるとは限りません。近年、悪い人たちがあんなことやこんなことをして稼いだお金を、海外の口座に移したり戻したりすることで出所を分からなくする手法、いわゆるマネーロンダリングが問題になっています。そのため、銀行も海外送金や海外アクセスのインターネットバンキングには慎重を期しています。